天才を殺す凡人は、物語形式で「天才・秀才・凡人」それぞれの違いが理解しやすく、人間関係の図式もわかりやすい書籍です。
天才の2タイプ
天才にはXタイプ、Yタイプがいます。

天才のⅩタイプ
天才のXタイプは存在に興味が向きます。世界を構成する要素や、実際に存在するものを解明しようとする科学者タイプです。
- アインシュタイン
- ホーキング
- イーロン・マスク
など。
天才のYタイプ
天才のYタイプは認知論に興味が向きます。人が見ている世界、どういう認知が世の中を変えることができるかというテーマを解明しようとする、実務家タイプです。
- ドラッカー
- アダム・スミス
- 松下幸之助
など。
新しいことを生み出すことでしか、自分を満足させられない体になってしまった人間。それが『天才』と呼ばれる人物なんや。
天才×凡人=病める天才

本のなかでは女性社長の上納アンナが【病める天才】として登場します。
病める天才は創造性と共感性を武器に持ちますが、再現性がないためムラが激しい一発屋のクリエイターです。
クリエイティブなだけでなく、それが世の中の人々の心を動かすか? インサイト(潜在的な欲求)に届くかどうか?まで、直感的にわかる。
他部署との調整や、組織の拡大、部下への権限移譲で失敗することが多い。
病める天才は高いクリエイティビティを持ちつつ共感性も持っているので、凡人の気持ちもわかるし優しさもある。だから変人になりきれないんですよね。
秀才の2タイプ
『天才を殺す凡人』によると、秀才は法律を主語にして語り、こちらも2タイプ存在します。
秀才のKタイプ
秀才のKタイプは、自分の知識が主語です。
- 自分が知っていること
- 経験していること
- 自明になっていること
これらを軸にして物事を語ります。
やたらと知識をひけらかして論破することに生きがいを感じる人は、このKタイプが悪い方に出てしまったパターンです。
秀才のRタイプ
秀才のRタイプは、善悪を主語にしています。
- 組織にとっての利益
- 明文化されたルール
など、善悪によって物事を語ります。
「会社の利益を考えると」「テレビやニュースを見てみろ」という言い回しで、相手を説得する傾向があります。
秀才×凡人=最強の実行者
私がとくに興味深かったのは天才と秀才の違いの説明です。
秀才には再現性(理論性)と共感性を武器に持つ【最強の実行者】がいるんです!!
最強の実行者は、ロジックを押し付けるだけでなく、人の気持ちも理解できます。何をやっても大抵うまくいく要領の良い人。
論理的だけど強引な感じがしなくて、結果的に多くの人の気持ちを動かせる。なんか大人って感じでいいですよね~( *´艸`)
そんな最強の実行者にも弱点があります。
新しいことをやらせると『既存のサービス』の焼き直しになり、革新的なものは生まれないのが弱点
天才と秀才と凡人の関係性
天才は秀才に興味がないけど、秀才は天才に、憧れと嫉妬を持っている。
さらに天才は凡人に理解して欲しいと思っているけど、凡人は天才に対して『好きか、嫌いか』というシンプルな感情しか持っていない。
このすれ違いが職場やチームの人間関係をギスギスさせるのです。
共感の神
天才と秀才と凡人。それぞれ違う才能を持つからこそ、チームとして集まったときに大きな力になるんですね。
とくに病める天才を救うのは共感の神(通称:根回しおじさん)の存在です。
あまりに共感性が高くて、誰が天才かを見極められる人。人間関係の機微に気が付く。誰が秀才で誰が天才かを見極め、天才の考えを理解することができる。
さいごに
さいごに、最も私の心に響いたフレーズをご紹介して終わりにします。
ええか、学歴が良くて仕事のできる人間ほど、よーく勘違いする。強味で愛されるってな。だどもな、真実はむしろ逆や。弱みがあるからこそ人は愛されるんだべ。
彼女は完璧じゃない。できないこともたくさんある。でもそれこそが彼女の魅力だった。助けたくなるのだ。
弱みがあるから人間らしくて愛されるってことか(/_;)
普通のリーダー本が響かない人は、ぜひ読んでみてください!
続編の『分断を生むエジソン』もオススメです。
