分断を生むエジソンに上納アンナと黒岩仁という2人の人物が登場するんですが、正反対の思考方法を持っていて面白いです。
著者の北野さんは思考方法と表現していますが、実際は認知特性の解説なんですよね。
認知とは、目の前の出来事を「そこにある」と意識して捉えることです。
人によって脳に情報を入れ精査して記憶する得意なスタイルが違って、分断を生むエジソンでは
- 2D思考の敏腕コンサルタント「黒岩」
- 3D思考の天才起業家「上納アンナ」
というキャラクターで表現されています。
2D思考の黒岩さんは、できごとを音とリズムで捉え時間軸がありますが、3D思考の上納アンナは、視覚中心で立体的に捉え、時間軸がありません。
時間軸のある2D思考:黒岩

黒岩の思考法は2Dで、平面的に物事を捉え、時間軸が存在します。
一方で黒岩の思考法はたとえるなら数式である。2Dなのだ。
世界を音とリズムで捉えている。したがって両者の思考には決定的な違いがある。
「時間軸」と「立体性」が異なっているのだ。
音やリズムで情報を処理するのが得意で、時系列で因果関係を掴んで記憶します。テストで暗記するとき語呂合わせで覚えるのが得意なタイプ。
時間軸がある世界とは
時間軸に沿ってものごとを記憶する認知特性は継次処理といいます。
過去→現在→未来
と段階を経て情報収集するので、目の前で起きている出来事は過去から繋がっていて、その延長で未来に向かうと考えます。
時系列で物事を記憶する黒岩思考だと、
過去→現在地→中継点A→中継点B→目的地
という流れで目の前の出来事から未来を予測します。
現在地と目的地を入力すると、最短ルートを教えてくれるアプリみたいな感じ。
時間軸がない3D思考:上納アンナ

アンナの思考法は3Dで立体的に物事を捉えていて、時間軸が存在しません。
黒岩もまた「面白い」、そう思った。
アンナの思考法はたとえるなら立方体である。3次元。
世界を全て3Dの世界で捉えている。しかし、そこに時間軸はない。
絵や映像などイメージの情報処理が得意なので、時間軸の概念なく一気に全体像をとらえるんですよね。
同時処理タイプは現在・過去・未来が同じように頭に流れる映像として脳内で再生されてます。ドラマを見ていて1話抜けると前後の関係性がわからなくなるタイプ。
時間軸がない世界
時間軸を無視して記憶する認知特性は同時処理といいます。
過去=現在=未来
と並列で捉えるので、過去から現在があって未来につながるという連続性はなく、ただ現象として記憶します。
アンナの脳内は地球儀です。
頭の中に地図の全体像は把握できるけど細かな道順や裏路地は見えません。むしろ、「地図を見ている私」を客観的に見ているようなイメージです。
だから、現在地=目的地なのです。
目に見えた現象を丸ごと映像として記憶し、必要に応じてピースを取り出し自由につなぎ合わせます。
言葉で理解するより先に瞬時に全体像を把握できるので、因果関係を掴むのは苦手で「だって、そうなるんだよ!」という感じ。
2D黒岩の世界で生きる3Dアンナたち
日本では学校も会社も黒岩のような2D思考(継次処理)がベースに作られています。
学校のカリキュラムや年功序列などは、全て時間軸で構成されていますよね?
1年目でAをしたら2年目ではBなる、ってことは3年すればCになる…といった具合に、時系列で物事をとらえて繰り返し行動できることが求められます。
その世界で【過去・現在・未来】を同時に感じている上納アンナのような3D思考(同時処理)タイプは生きている。
同じできごとを経験していても、情報処理の仕方や記憶の仕方が違うことを知っていれば、お互いの持ち味を生かした人間関係が築けます。
分断を生むエジソンではストーリー仕立てでそれぞれの特性の違いが解説されているので、興味のある人は読んでみてください。
